
太宰治 八号碑
富士山の麓にある三島は豊富な湧水と清流に恵まれ、桜川沿いの町屋はそれぞれが水の取り入れ口を持っている。小説「ロマネスク」を執筆するため、三島の友人、坂部武朗方に滞在してひと夏を過ごした太宰。川のせせらぎが心を癒し、思い入れを深めたのだろう。三島はその後の執筆活動の基盤となったといわれている。
碑文
町中を水量たっぷりの澄んだ小川がそれこそ蜘蛛の巣のやうに縦横無尽に残る隈なく駆けめぐり、清冽の流れの底には水藻が青々と生えて居て、家々の庭先を流れ、縁の下をくぐり、台所の岸をちゃぷちゃぷ洗ひ流れて、三島の人は台所に坐ったままで清潔なお洗濯が出来るのでした。
所在地:三島市 桜川沿い